こんにちは!
北海道の理学療法士_カズ_です。
札幌市で筋膜治療の国際認定セラピストとして,活動をしています。
筋膜治療を学ぶために,イタリアに短期留学をしたり,大学院で筋膜の研究等を行っていました。
現在では,世界で40名ほどしか保有していない,Fascial Manipulation®Specialistとして北海道でクライアントの筋膜調整等を行っています。
さて,先日下記のツイートをしました。
Fascial Manipulation®︎Level3のスタッフ業務のため東京に来ています。
Level3の参加はイタリアも含めたら5回目の参加。理解をしきれるまで,学び続ける。
Level1とLevel2に関しても外人講師の時は2013年から復習参加を欠かしたことない。
そうして,今の自分がある。 pic.twitter.com/ZBoS0kBwUV— 菅原和侑(北海道の理学療法士) (@CaptamKz) September 8, 2019
え?菅原さん東京で働いてるのですか?
筋膜マニピュレーションってなんですか?
てか、同じ講習会に何度も参加しているんですか!?と色々質問攻めに合いましたので
私の行っている活動と筋膜マニピュレーションについて書きたいと思います。
菅原さん東京で働いているのですか?
はい。東京で働いています。
しかし,札幌の病院勤務をしています。
東京で講習会(筋膜マニピュレーション)の運営スタッフをやっていて,そのアシスタントとして1ケ月に1〜2回ほど東京に出張しています。
筋膜マニピュレーション®(Fascial Manipulation®)ってなんですか?
筋膜マニピュレーションとは,イタリア人理学療法士 Luigi Stecco氏により1987年から体系化された,Fascia(膜・筋膜組織)組織を対象組織の中心とした徒手理学療法(手を使って行う治療)である『Fascial Manipulation®』の日本語名です.
ですので,Fascial Manipulation®と筋膜マニピュレーションは同義語となっています.日本では最近流行の新しい治療手技という認識があるかと思いますが,実はイタリアでは体系化されてから30周年をむかえた徒手療法なんですよね〜.
1987年にLuigi Stecco氏によるはじめての書籍
「Myofascial sequences amd acupuncture meridians:神経ー筋膜配列と鍼術経路」
この本の中でStecco氏は,
同方向性の筋は順次にそれを覆う筋膜に挿入している。
といって,同じ方向に走る筋肉は同じ筋膜に覆われているって説明しているんですよ!
なんと,1987年に!!
今じゃ,日本のメディアでクローズアップされる筋膜ですが,イタリアでは30年以上前から筋膜に関する書籍が出ていたと考えると,日本の医療の遅れを感じますよね…
そして,筋膜にかんすつ書籍は,英語,スペイン語,イタリア語・ポーランド語,ドイツ語,フィンランド語,ポルトガル語,ロシア語,韓国語,中国語簡単字,繁体字などに翻訳されています。
日本でも「筋膜マニピュレーション 理論編」と「筋膜マニピュレーション 実践編」として翻訳し販売されています.
そして,現在では「内部障害系の解剖学や生理学」も解明しつつあり,「Fascial Manipulation for Internal Dysfunction 理論編」が日本でも販売されております。そして,2019年に日本で「Fascial Manipulation for Internal Dysfunction実践編」が発売されます.
とても難解な内容ですが,内部臓器との関連や腸間膜や隔膜の解剖学,精神疾患やリンパそして皮膚や脂肪組織などの治療理論なども記載していますのでとても興味深い内容かと思います.
Fascial Manipulation®に関する論文(抜粋)
そんなこと言ったって,筋膜の治療にエビデンスなんてあるのか!?という質問も受けることが多いです。
私も,今年の3月まで大学院で筋膜の研究を行っておりましたが,それと同様にここ10年程筋膜の研究が世界的に増えています。
🔽以下、一部抜粋
・Evaluation of fascial manipulation in carpal tunnel syndrome: a pilot randomized clinical trial.
・RMIstudyand clinicalcorrelationsof ankleretinaculadamageand outcomes of anklesprain.
Fascial Manipulation®で用いる筋・筋膜機能異常に対する治療
Fascial Manipulation®では主に筋・筋膜・膜組織の滑走機能異常による疼痛,可動域制限,筋出力低下などの機能障害や歩行困難,階段昇降困難,日常動作活動制限やスポーツ動作困難などの能力障害の改善を目的とした治療方法です.
長い人生の中でこれまで行なってきた運動の癖や生活習慣そして不良姿勢,使いすぎなどによる身体なかで起こっている筋筋膜・膜組織の機能異常を対象にします.
Fascial Manipulation®でいう筋・筋膜・膜組織異常とは?
筋膜の短縮や萎縮を意味しているのではありません。膜組織の周囲を取り巻く物質の変化を指します。
例えば、
・筋筋膜組織の高密度化や基質のゲル化
・ヒアルロン酸の凝集化等による体内の物質の変化によって起こる膜組織の滑走制限や神経・血管絞扼障害
これらに対して,
体の中の酸性濃度の変化(酸化からアルカリ化)
コラーゲン組織の架橋形成などを取り外す
急性期炎症を起こすことによる組織のリモデリング(再構成)
を促すことを治療目的としています。
なぜ筋膜組織の治療が必要なのか?
筋組織の筋挿入部が停止部(骨)が停止腱になるのが筋線維の37%しかないには理由がなければならない。
(Smeulders, 2005)
Thomas Findley,Hans Chaudhry,Antonio Stecco,らは検体の解剖を行なった際に,筋の筋腹などの途中から,筋線維が筋膜組織に停止している線維が多数存在していることを証明しました。
〜Fascia research-a narrative review:Journal of Bodywork & Movement Therapies 16:67-75,2012〜
↑こちらの文献に詳しく説明されています。
Fascial Manipulation® Workshopの内容
Fascial Manipulation®(筋膜マニピュレーション®)は現在、全世界でWorkshopが開催されています。
Fascial Manipulation®イタリア本国のWebsite(日本語翻訳版)
Fascial Manipulation®は複数のコースに分かれています。
Fascial Manipulation コース一覧
<Fascial Manipulation®コース>
・Fascial Manipulation® Level1(筋骨格系)
・Fascial Manipulation® Level2(筋骨格系)
・Fascial Manipulation® Level3(内部機能障害)
・獣医Fascial Manipulation® Level1(筋骨格系)
・獣医Fascial Manipulation®Level2(筋骨格系)
<Fascial Manipulation®マスタークラス>
・筋骨格系マスタークラス(Level1,2)
・内部機能障害マスタークラス(Level3)
<認定資格>
・Certified Fascial Manipulation® Specialist(CFMS)
日本で開催されているコース概要
日本で開催されているコースはFascial Manipulation®Level1・2・3です。そのコースの内容について紹介します。
<Level1>
主に筋骨格系障害(整形外科疾患)に関する膜組織に対する治療を学びます。正常な筋活動と固有感覚に関して,膜組織の中でも筋組織に最も近い膜である筋外膜組織の治療理論について学びます。矢状面,前額面,水平面に関わる筋膜の配列を6配列学びます。
<Level2>
主に筋骨格系障害(整形外科疾患)に関する膜組織に対する治療を学びます。正常な筋活動と固有感覚に関して,筋肉と筋肉をつなぎ合わせる深筋膜組織(筋膜腱膜)について学びます。また,スポーツ動作やADL動作などの協調性運動や複合運動,効率的運動に関わる支帯組織,靭帯組織,関節包組織との関連を学び,また筋膜腱膜組織の配列として筋膜螺旋と筋膜対角線の8配列を学びます。
<Level3>
主に内臓機能障害に対するFascial Manipualation(膜組織に対する治療を学びます。内蔵を支持している張筋構造のバランスを取ることを目的とし,合わせて浅筋膜のFascial Manipulationにより血行と表在神経の滑りを促進し,身体系のホメオスタシス(恒常性)のために基本的なホルモンの生成を促進する浅層のモビライゼーションを学びます。
簡単ではありますが,Fascial Manipulationについてまとめてみました。 今後も随時情報を追加していきたいと思います。が,やっぱりコースに出てみるのが一番かなと思いますよ!
ココがポイント
最後に‥なぜ書籍だけではなくコースに参加したほうがいいか?
・Fascial Manipulationは問診と動作観察,触診いわゆる評価が重要であり,治療の殆どを占めるため。
・Fascial Manipulationはポイントの決め撃ちの治療ではなく,どの筋膜の配列(筋骨格系で言えば,14本)に機能障害が起こっているのかを評価しなければならず,間違った治療では症状を増悪させるリスクがとても高いこと。
・触診の方法を詳しく教えているため。
・膜,筋膜組織の解剖学,生理学,病理学,バイオメカニクスがより詳しく説明されているため。
🔽そんな感じで,今週も東京で頑張っています。
ありがたい。
教え方が上手と言われるんだけど。わからない人の気持ちをいかにわかるか。
それだけ。わからないを科学する俺の好きなところ pic.twitter.com/EroE3vTXLb
— 菅原和侑(北海道の理学療法士) (@CaptamKz) November 2, 2019
今日も,わからない人に対する教え方を科学しています。