Ⅷ.抵抗運動テスト・筋の長さのテスト
収縮性組織や筋を支配する神経に問題が有るかを判断することを目的として行われる。
収縮性組織と神経組織の損傷には4つの古典的な分類方法がある。
・無痛で運動が強い
(触診で圧痛があっても運動が強力で疼痛がない場合は収縮性組織に問題がないと考える)
・疼痛があるが,比較的運動は強い
(筋または腱の局所的な問題を示唆する。1度~2度の局所的な筋損傷が考えられる。)
・疼痛があり,運動が弱い
骨折など関節周囲における障害が重篤なことを示唆する(疼痛による筋の反射抑制)
・無痛で運動が弱い
筋断裂(Ⅲ度)痛みに変化がない:収縮させても激痛が入らない緊張しない、腱の障害、筋を支配する末梢神経、神経根の障害が示唆される。
→神経系の問題あるいは筋断裂を疑う。
→神経系であれば、筋の脊髄神経分節(筋髄節)と末梢神経による筋支配をくべつ
筋の評価は主に,筋実質に問題がないのか?筋を支配する神経に問題がないのか?を評価するものである.
しかし,評価の手順を踏まえると筋の評価はNo.Ⅷであるため,すでに神経組織に問題がない.もしくは問題がある事が評価されている.
もし、神経の評価をせずに,筋肉の評価をして陽性所見が出たとしても,神経の問題なのか?筋実質の問題なのか?鑑別が出来ない.
また,神経の障害は障害部位のみならず,その神経が支配される領域に影響を及ぼす.
そのため,もし「歩行時に関節に圧迫がかかって痛みが起きている可能性がある!」
と仮説を立て,関節の評価をして陽性所見が出たとしても,実は歩行時に腰部の神経根に絞扼が起こり,間欠性跛行をとっていた場合にも,神経が原因となって,膝に影響を及ぼしている可能性は除外できない.そのため,多くの領域を支配する【神経】をまず評価をしなければ,【筋】や【関節】の評価を行った際に陽性所見(何かしらの症状)が出たとしても,確定診断をすることは困難です.
筋の評価方法については,筋の等尺性収縮と筋のストレッチ肢位での伸張を検査すればよいです.
最も重要な事は,筋力は等尺性収縮でみる。
これが重要です。
関節運動を起こして筋の評価を行なってしまうと,それこそ考えなければならない要素が増えてしまいます。<筋,関節,軟骨,脂肪,皮膚,…>
そのため,筋の収縮による痛みや筋力を評価する場合は等尺性収縮を行うことをオススメします。
また,関節の評価(Joint playや他動運動)を評価をする前に筋の評価を行なってしまうと‥,
という方に,
膝を伸ばすから痛い=大腿四頭筋の痛み
というふうに仮説を立ててしまい,まず先に大腿四頭筋のMMTを計測して,
そして,大腿四頭筋のストレッチをして‥
というふうに,結論を先に出してしまうと…
と質問をうけると,“理論が破綻”してしまいます。
そのため,まずは他動運動やJoint Play(関節面の圧縮や牽引)などによって,関節構成体の問題を除外しなければ,筋が問題です!と結論付けることは困難なのです。
関節と筋をどうやって鑑別するか?
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整形外科の評価の基本を学びたい人向け。 当記事では、「どんな本を買っていいかわからない。」や、「アドバイスしてもらえる人がいない。」という人のために運動器疾患の理学療法士評価基礎をまとめました。理学療 ...
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