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「量的検査と症状再現の重要性」

北海道の筋膜調整セラピスト 兼 筋膜研究家

北海道の理学療法士_カズ です.

今日の独り言は「評価」の中の「量的検査と症状再現の意義」について書いてみたいと思います。

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評価の中で行なう運動検証や症状の再現性の評価。みなさんはどのような意味を持って行なっているのでしょうか。

評価の意味は

・症状の問題点をあぶり出す

・原因部位を特定する

と同時に

これも大事

・治療の効果判定をする.

ために用います.

前回の治療の結果,どう変化したかを評価するためにも

質的な評価だけではなく量的な評価をすることは重要です.

今回は,私が以前臨床で経験した量的評価をやってよかったと思った「事件」について書いてみたいと思います。

 

量的評価を行う意義

例えば,ゴニオメーターによる角度の計測

例えば,ハンドヘルドによる筋出力の測定

例えば,Barthel IndexIやFIMのようなADLを数値化出来るテスト

そして、10分歩いて痛みが出る人は10分歩かせる

 

 

2回目以降の治療を

『症状の確認をすることなく、習慣化した治療を繰り返してはいないですか?』

 

 

患者さんの治療頻度はどうだろう。

週三回のリハビリを3ケ月間とか、週2回の治療を半年間とか、週1回の治療を1年間とか毎日ダラダラ同じ事をしていませんか?

症状の変化を見つけ、その問題点をとらえ治療を展開する.

それが症状消失の一番の近道ではないかと思います.

質的な評価(動作観察や姿勢観察など)」は理学療法士の主観的な評価となってしまうため,患者さんには伝わりにくい問題があります.

また,質的な評価は経験に重きが置かれるため,若い理学療法士がなんと言おうと,「経験年長者の評価に曲げられてしまう」デメリットがあります.

そんなときこそ,必要になるのが「量的な評価」結果が数値化され,他者も理解しやすい.そして,ある程度練習すればそれなりの経験の人でも再現性が高いこと.そんなとこからも,初回の評価にはとっておきたい内容だと思います.

 

 

 

 

体験談

 

昨年、腰椎分離症の患者様でこんな方がいらっしゃいました。

初回の問診時に

・家から病院まで歩いてくる際(大体7分位の距離)に徐々におしりから足にかけてだるくなってくる。

・休まないと歩いてられない。

・座ってるのが楽です。

・腰を曲げてもそらしてもねじっても痛みは出ません。

・股関節も抵抗運動も最終可動域まで動かしても痛みが誘発されません。

・各分節に荷重負荷をかけても痛みが出ません。

しかし10分くらい歩いたら辛いです。

 

 

初回に詳細な問診と機能評価後

(今回はこれは重要じゃないので省略)

 

そして,トライアル治療(初期評価結果に伴う試験的治療)

・腹部、胸部、頸部に問題が見られ、治療を施しました。

補足ですが‥。

→時間的には問診と評価40分、試験治療(10分),カウンセリング(10分)

※私はどんなに忙しい時でも初回のリハは1時間見ています。

ココがおすすめ

1時間確保出来ない時は、その日は次回の予約だけを行い、後日1時間確保出来る時間を必ず作り「1時間評価」を行います。

 

 

そして、初回の治療を終え,1週間後

 

☆2回目の来院。

患者さん
「前回治療をしていただいたのですが歩いてる時のだるさは変わりません。」
患者さん
「やはり私は手術した方がよろしいのでしょうか?」

 

✍症状が変わらないとのことで再評価再開

 

<問診>

PTカズ
「今、だるさはありますか? 」
患者さん
「ありません。」
患者さん
「でも、昨日買い物して歩いてる時は辛かったです。」
PTカズ
「腰を動かして痛みはありますか?」
患者さん
「腰を動かすのは関係ないのです。」
PTカズ
「今日歩いて、ここ迄来た際にだるさは出ましたか?」
患者さん
「出てません。」

 

 

この質問で、前回より少なからず変化が起こっていることを確認。

(治療に対して何かしらの変化が起こる。主効果が出ています。)

 

 

PTカズ
「昨日はどちらまで買い物にいかれました?」
患者さん
「駅まで行き2時間位買い物にいってきました。」
患者さん
「辛くなったので1度休憩がてらお茶をしました。」

 

・・・・(少なからず、2時間の買い物で一度の休憩ということは10分以上は歩けるようになっている。)

 

 

PTカズ
「わかりました。現状でだるさが出ていないのであなたの問題点がわかりません!!
(ハッキリと言った。)

 

PTカズ
「それでは、このだるさについて詳細に評価したいので、症状が出るまで歩いてきてもらっていいですか?」
患者さん
「はい。わかりました。待ってていただけますか?」
PTカズ
「はい。お待ちしております。」

(ストップウォッチスタート)

・・・・・・・・。

・・・・・。

・・・。

・・。

・。

患者さん
「すみません先生。」
PTカズ
「おかえりなさい。どうですか?」
患者さん
「 まだ、お待たせしちゃいそうなので外を歩いてきてもいいですか?」
PTカズ
「どうぞ。」

・・・・・・・。

・・・・。

・・・。

・・。

1時間15分後 (リハ室に帰宅、その間に別の患者さんの治療終了)

 

 

患者さん
「先生。よくなってました(笑)」

 

結局症状が現れず,自分の計画通り治療の2セション目,骨盤と足部を調整し終了.

そして,全4セションにてリハビリ終了.

 

 

もし、週に何度も来られているのに症状が改善しないと言っている方がいる場合は

一度そのリハビリを一回にまとめてじっくり評価をするべきだと思います。

そして,しっかりと今,痛みがあるのか? ないのであればどうしたら出るのか?

そして,本当にその動作(今回で言えば10分間の歩行)で痛みが出るのか?

もう一度確認して、今リハビリを行なう必要性を観る必要がある.

週に何回通うべきか?

何セッションの治療で良くなるのか?

もう一度、確認するべきだと思います.

筋力増強を目的とするなら,2ケ月,3ケ月必要とします.

あなたの評価結果通り,2ケ月後には筋力が増強し問題が解決しているでしょう.

医療費が安い日本では病院に患者が継続して通いやすい世の中になっている.

理学療法士も患者さんも「無駄な」リハビリをダラダラ習慣的にやっていないだろうか?

 

それは,理学療法士にとっても患者さんにとっても良くない.

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北海道の理学療法士_カズ

株式会社EzoReha(エゾリハ)代表取締役。「病院に行かない文化をつくる」がモットー。理学療法士の国家資格を取得後,札幌市内総合病院に12年間勤務しながら,大学院進学やイタリアへの理学療法士の技術を学ぶために短期留学,そして、現在では筋膜治療のスペシャリストとして全国各地から指導の依頼を受けている。2020年から株式会社EzoRehaを設立し、北海道を中心に理学療法士の知識を医療過疎地、高齢者、スポーツ選手や一般の方々に対して発信しています.理学療法士による地域の活性化を図り新たな社会モデルを作ることを目的としています。さらに詳しいプロフィールはこちらから

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